障害のある人とない人が共に暮らす
「ぱれっとの家 いこっと」
渋谷区恵比寿にある「ぱれっとの家 いこっと」(以下、いこっと)は知的に障がいのある人とない人が共に暮らすコレクティブハウスを参考にして建てた家です。現在、知的障がい者4人と健常者4人(20代〜40代)が一緒に生活しています。
厚生労働省の調査(2005)では、知的障がい者の約8割以上が親と暮らし、そして身寄りがいなくなるとグループホームやケアホームなどの施設に移るケースが多いといいます。「特定非営利活動法人ぱれっと」の理事長 谷口奈保子さんは「施設に障がい者だけが暮らすという社会は自然ではありません。社会の中で関わりあって生きていくことで、本人の活力が生まれ、それがひいては地域の活性化にも繋がるはずです。現状は、親や施設職員が少し世話を焼きすぎているのかもしれません」そして「障がいが軽度の知的障がい者(全体の約2割)は、自分自身で身の回りのことが出来ます。少しの支えがあれば親や施設から離れても十二分に暮らしていけるはずです」といいます。「いこっと」は谷口理事長のこうした思いから生まれました。
恵比寿駅から徒歩8分程度にある「いこっと」は、3階建てで、8つの個室(各6畳程度)があります。台所やお風呂などの水回り、居間、そしてダイニングが共用になっていて、冷蔵庫、洗濯機も備え付けのものを皆で共同して使います。
いざ暮らし始めると、深夜帰宅の健常者の階段を登る音が、早く帰ってきた知的障がい者の迷惑になっていたり、そして知的障がい者は、事前に料理、洗濯など自立生活の訓練を学校や寮などで受ける機会があり、それが反って健常者より安定した生活を送っていたり、職場から定時で帰ってくる知的障がい者が、健常者の食事の用意を手伝ったりなど、健常者の方がサポートを受けている状況も見受けられるそうです。
谷口理事長は「そもそも日本人の働き方はいいのだろうか。もっと自分と周囲とのつながりの時間を持って欲しい」といいます。共同生活することで現代社会の歪みが見えてくるのと同時に、実際の生活を仔細にみれば、障害のあるなしに関わらず互いに支え合える可能性が見えてきます。
「ユルツナ見学会」として10名程でお邪魔しました。谷口理事長からのご説明、ぱれっとが運営する他の施設やレストランの訪問、さらには住んでいらっしゃる方にもお会いできるなど、いろいろご準備とご配慮頂きました。ありがとうございました。