代表の市川望美さん(上写真右、左は庶務部の大槻昌美さん)は、IT系企業のマーケティング部門を経て、出産を機に地域での活動を始められたそうですが、さまざまな気づきがあったそうです。
市川さんは「会社員時代は、地域なんて特にいらないと思っていたけれど、子育てをきっかけに出会った仲間とお互いさまで子育てを一緒にしながら、地域コミュニティの中で自分たちがほしいと思う事業やサービスを形にしていった経験はとても充実していて、ライフステージに合わせたはたらき方を実現することができました。」また「こうしたことが自分の人生やキャリアについて考えるきっかけともなり、cocociのような場所がもっと沢山あれば、女性たちもはたらき方や暮らし方で悩むことが少なくなるのではと思うようになったんです。」といいます。
地域の子育てNPOで、子育てひろばやコミュニティカフェの運営に携わったそうですが「全国にある子育て支援拠点のように制度化されていく仕組みは、確かに安定した運営が可能となり拠点を広げていくには大きな力となるけれど、運用者と利用者の間に壁ができてしまい緩やかなつながりがなかなか築きにくいように思います。」また「補助金や助成金を活用し運営するのは、立ち上げ支援としては有効ですが、補助が終わった後に継続していくことを難しくしてしまうことがあるように思います。地域には様々なエピソードや取り組みが山ほどありますが、システム化することはとても難しいですね。」など多くの課題を感じられたそう。
こうした気づきを背景に「あふれ出るエネルギーを持った女性のために、時間と場所にとらわれない誰もが活用できる仕組みを構築し、育児と仕事を両立したマルチレイヤな新しいワークスタイルの受け皿を作りたい。」そして「地域と育児と女性の仕事を繋げるムーブメントをつくり、子育てコミュニティの仲間を拡大していきたい。」という思いで「cococi」を設立されたのだそう。
地域で子どもを育てている女性は、子どもを通じて地域とのつながりをもっています。そうした育児女性だからこそ、地域でネットワークを創り、地域で仕事を生み出し、地域をよりよく繋げていく大きな可能性を秘めている。このように地域で働ける環境が出来れば、育児をする女性だけでなく、フルタイムで働けない高齢者など幅広い世代にとっても柔軟でしなやかなライフスタイルが実現するかもしれません。
「cococi」でお話しを伺っている間、塾を終えた子供たちが訪ねてきました。最近では、就労の閉塞感を伝えるニュースを見ながら「この人たちコワーキングすればいいのにね」とつぶやくのだそう。地域のコワーキングで働く親の姿をみながら育った子供は、社会の変化を身近に感じ、より広い視野を持ちうるのかもしれません。
最後に市川さんは「人と仕組みをシェアするワークフローのデザインとそのシステムを作り、それぞれが自律して繋がり合うコミュニティを全国に拡げ、どこにいても多様な仲間との繋がりと可能性が際限なく拡げていきたい」と、その視野はすでに全国に向け大きく拡がっていました。
現在、「cococi」を運営する「非営利型株式会社ポラリス」と「ユルツナ」を運営する「株式会社グラディエ」は、「地域×女性」をテーマとしたフューチャーセッションの開催(8月20日)する予定です。この日はなんと「cococi」の一周年記念でもあります! ぜひみなさん遊びにきてください。開催概要とお申込はコチラのページをご覧くださいませ。みなさまとお会い出来るのを楽しみにしております!
タナ:育児ママさんたちの満ち溢れんばかりのエネルギーと人間力にグッと惹きつけられました。育児コミュニティが地域を活性化して、それが全国のコミュニティと自由に手を繋いで拡がっていく、新しい未来の可能性を強く感じました。
2012.7 取材・記事 タナ
編集 イソマイ
レイアウト イソアム