街のスキマから街づくり
ドラマチック 代表 今村ひろゆきさん
様々なメディアで取り上げられている「MaGaRi(間借り)」「逆不動産情報Talent」「LwP asakusa」を主宰するドラマチック代表 今村ひろゆきさんは、ユニークな着眼点をもって街づくりに取り組んでいらっしゃいます。その等身大の活動は、そこに住まう人の気配が感じられる本来あるべき街の個性を引き出しています。ひょっとしたら大量の空き家にあえぐ不動産業界にとって、数字では表せられない無形価値を生み出すイノベーションなのかもしれません。非常に親しみのわく活動でありながら、その根底には現代社会の本質をスパッと突いた今村さんの洞察力と先見性を感じます。では、今村さんの授業はじまりです。
Q:電機メーカーで半導体の営業をされた後、街づくりや施設のプロデュースを手掛けていらっしゃいます。なぜ“モノづくり”から“場づくり”へと興味が移られたのでしょうか?
学生時代、よくバックパッカーで海外を旅していたのですが、その時に「なぜヨーロッパの街並や観光業は上手くいっているのに、日本のそれは上手くいっていないのだろうか?」と思ったんです。それで街づくりに関わりたいと思ったのですが、当時の街づくりの会社でピンと来るものがあまりなくて。今の時代に何が必要かと考えた時「インターネットは確実に生活を変えるだろう」と考えシステム系電機メーカーに入りました。ただ確かにそこでは最先端の事業が行われていたのですが、生活者へ提供するベネフィットに、あまり興味と実感が湧かなかったんです。改めて自分のやりたいことを見つめ直した時、学生時代に感じていた街づくりへの思いが再び芽生え、まちづくりコンサルティング会社に入社しました。
Q:独立された経緯を教えていただけますか?
その”まちづくりコンサルティング会社”は大手デベロッパーをクライアントとする比較的大きな事業規模の仕事が多かったんですね。大都市の大規模のプロジェクトが中心で、そしてそれを何年もかけて回収するといったものです。そうすると初期投資がかかる分どうしても高い家賃になり、そして、それが払えるところとなると大手のチェーン店となり、どこも同じようなショッピングセンターになっていくわけです。結果、どこも同じような街になってしまう。もう少し、柔軟で新しい切り口がないかと考えている内に、古い建物とか小さなところでユニークな活動をされている方とかと一緒に仕事が出来ると面白いんじゃないかと思うようになったんです。
Q:千葉県松戸市のご出身だと思いますが、なぜ活動の拠点として浅草を選んだのでしょうか?
以前は大岡山に住んでいたこともあり、東京都内で仕事をしようと思っていました。そして新しい活動をするにあたって考慮したことが、街のコミュニティが存在していて、且つイベントをやる時に駅から近くで人通りがあるなど人が集まりやすく、更にはその地域で目玉になるようなもの(観光資源など)があるところ。今は東京の中でも東側が活発になっていると思ったので、これら様々な条件を踏まえて浅草を選びました。